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2009年7月 8日 (水)

 毎週水曜更新の『こちら文化情報検究所』、本日正午に新記事公開となりました。映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』公開に伴うネタバレへの危惧について書いております。

ネタバレされたときどんな顔をしたらいいかわからないの

 で、上記記事は映画を観る前の話ですが、原稿を書いた翌日、新宿まで観に行ってきました。
破
 えーと、一応上記の原稿を書いた手前、あんまりネタバレにならないようにするつもりですが、あくまで固有名詞やすあらすじに触れないようにしてるだけなので、観てどんな気分になるのかとかどういう方向性なのかとかすら知りたくない場合は決して続けて読まないようにお願いします。
 といってもエヴァンゲリオン好きなら誰でもしたくなってしまうであろう解読等をするつもりもないのだが。なんというかね、とにかく(ここからこれすらもネタバレと言われてしまうかもしれない感想なので注意)アクションシーンの演出が猛烈な迫力で、作画がどうとかいうのは当然、動画も構図もカット切り替えのタイミングも何もかも、映像表現レベルが尋常ではなく高くて興奮しっぱなしだったのです。冷静に読み解き考えるなんて繰り返し観ないとできない。予告編でも映像の凄さはかなりわかるはずだが、各場面場面、それらを編集して繋げることで現れる一連の時間の流れ、これがもう素晴らしい。滅茶苦茶気持ちいい。もっともあまり映像的に動きのない日常場面なんかは絵柄が好きかどうかというところで評価は分かれるだろうけど、見せ場での映画映像演出はもうほんと凄まじいです。アニメがどうとかいう以上に映画として圧倒的。劇場で観ないと人生の損失といっていいかもしれないほどです。おおげさじゃなく。

 物語展開的にも、前作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』は正直なところテレビ版のリメイクプラスアルファな感じで少々物足りなかったんだけど、今回の変動具合がとんでもない。えーと、さらにネタバレっぽくなっちゃうけどそれでももうちょっと書いちゃうと、旧シリーズ(『序』ではなくて『新世紀エヴァンゲリオン』テレビ版と映画版)の救われなかった要素を爆発的な力技でもってとにかく救っていく、そんな展開なのですね。それが全開となるクライマックスはいい年して結構本気で感動してしまった。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』は旧シリーズを観てなくても大丈夫な映画ではあるが(『序』は観ておかないとだめですが)、旧シリーズを観ておくとさらに感動的だと思います。
 ただ、救う方向に変化した代償として旧作にあった刺々しさが確実に減少してるので、エヴァンゲリオンにギスギスした気分を求める人には物足りないかも(ギスギスできねえじゃねえか!と難癖つけてギスギスしたい人にはいいかも)。その辺はスタッフがみんな年齢を経たための心境の変化かしら、とか思う。新作なのに監督総監督はもちろんその他スタッフの多くが旧作からの連投なのでなおさらかと。スタッフインタビューとか読んでないからわかんないけど。

 ちなみに先日までガイナックス制作のテレビアニメ『天元突破グレンラガン』をまとめて観てたんだけど(CSで放送してたから。テレビ版のみで映画版は観てません)、こちらもアクション演出とか相当にいいにもかかわらず(特に第15話がテレビシリーズとは思えない凄さ)、物語展開やキャラクター像的なところがかなり記号的にすぎるのがもったいなく思ってしまった。もちろんアニメも映画も小説その他も、記号的キャラクターや記号的表現によってカバーできる要素は多く、そうしたものを否定するつもりはないんだけど、グレンラガンの場合はせっかく「熱血」というテーマがあるにもかかわらず、それを形作る各要素が記号的すぎるので観てるこちらとしては熱血にのっかれないところがあったのです。俺が脳内補完しながら観ればいいんだろうけど、そうせずとも納得させる説得力ある描写こそが作品の良し悪しを決める大きなポイントではなかろうか。数話続けてみることでようやくある重要キャラクターを一人の人物としてつかめたかなあ、というあたりでその人が死んじゃうし。対して『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』は(旧作を観てるからかもしれないけど)そうした記号的要素も肉体を持ったものと感じさせる説得力が充分にあって、グレンラガンもいいんだけどエヴァと比較しちゃいかんよなあ、と思ったのは余談です。

 以上、『破』は『序』で油断してたらとんでもない凄さだった、必見、という話。もう一度旧シリーズを観直して名画座に来る頃に間に合わせようかしら。
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